ほんとうに美しくて深いなにかのそばまで連れていってくれたけど、それが何なのかぼくにはわからないんです。『未成年』イアン・マキューアン
別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
連休最終日。ここ鉄輪は雨もなく、朝から涼しい風が吹いていました。
今回の課題図書は『未成年』イアン・マキューアン。
最近若い俳優の自死や嘱託殺人の事件があったこともあり、
生きる意味や、死を選択すること、自己決定権、相手に生きろと強制すること
などへの問いを中心に、みなさんの感想を交わし合いました。
今回むすびのさんの作品に着想を得た特製メニューは、
113ページに出たフィオーナが少年に食べさせたいと思った、
バターとタラゴンレモン風味のローストチキン。トマトとニンニクといっしょに焼いたナスと、オリーブオイルで軽く炒めたジャガイモを添える
でした。たいへん美味しかったです。
彼の生命は彼の尊厳より価値がある。
少年の行為は、彼女の下した判決に抗するものだったのではないのか
という推測に皆うんうんと頷きながら、会は終わりになりました。
作中に登場する核となる歌、
イエーツ作詞のアイルランド民謡「サリー・ガーデン」を載せます。
病室でこれをアダムが演奏し、フィオーナが歌った情景を想像すると、
作品のイメージが変わってしまうくらいに、かなり心動かされます。
ちなみにここ鉄輪には「サリーガーデンの宿 湯治柳屋」さんがあります。
Down by the salley gardens
My love and I did meet;
She passed the salley gardens
With little snow-white feet.
She bid me take love easy,
As the leaves grow on the tree;
But I, being young and foolish
with her did not agree.
In a field by the river
My love and I did stand
And on my leaning shoulder
She laid her snow-white hand.
She bid me take life easy,
As the grass grows on the weirs;
But I was young and foolish
And now am full of tears.柳の庭を下ったところで愛する人と逢ったんだ彼女は白雪のような足で柳の庭を抜けて行った彼女は僕に言った「恋は木の葉が茂るみたいに気楽に」でも若くて愚かだった僕は肯けなかった川のほとりの原っぱに愛する人と立っていて彼女は白雪のような手を僕の肩に掛けた彼女は僕に言った「人生は堰に草の茂るみたいに気楽に」でも若くて愚かだった僕は今涙で一杯だ
ご参加ありがとうございました。
読んでいきます。お楽しみに。