十月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。
課題図書はカミュの『異邦人』です。
数十年ぶりに読み返しましたが、しびれました。
自分のそのときのスケールでしか本は読めないことに気づかされます。
参加されたい方はホームページよりお申込みください。
十月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。
課題図書はカミュの『異邦人』です。
数十年ぶりに読み返しましたが、しびれました。
自分のそのときのスケールでしか本は読めないことに気づかされます。
参加されたい方はホームページよりお申込みください。
九月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。今回の課題本は皆川博子さんの『少女外道』をとりあげました。
会のはじめにみなさんに自己紹介していただきつつ、この本の全体的な感想を聞いてみました。この会がなかったら一生読むことはなかった作品に出会えた、技法や仕掛けに驚かされた、少女と外道の組み合わせがすばらしい、標本箱や鞠、解剖道具、メンコなど物が輝いている、美しい日本で書かれているなど、それぞれの思いを語っていただきました。
むすびのさんからの今日のドリンクは、日本薄荷のお茶でした。飲むと薄荷の清涼感が口全体に広がり美味しかったです。今の薄荷は海外のものがほとんどで、現在の北海道での日本薄荷は主流の道から外れてしまったというのが、チョイスの理由でした。
軽食の方は、作品から立ち上がるイメージが赤だったということで、中身がトマトのさといもだけのグラタンでした。ホワイトソースは使っていないそうです。こちらもたいへん美味しくいただきました。
皆川博子の『少女外道』では、作品世界のおもしろさとともに、その日本語の美しさ、豊穣さに目を見開かれる方も多く、普段接している日本語がいかにすかすかで薄っぺらい物であるかを痛感したという声が多く聞かれましたね。
ご参加いただいたみなさまありがとうございました。次回はアルベール・カミュの『異邦人』を読んでいきたいと思います。
今回の開催写真は坂本長平商店 長寿味噌の坂本さんに撮影していただきました。ありがとうございました。
第十八回目の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。
九月は皆川博子の『少女外道』をとりあげます。
内容紹介
この感覚は、決して悟られてはならない――
人には言えない歪みを抱きながら戦前~戦後の日本をひとり生きた女性を描く表題作のほか、名手・皆川博子の傑作短篇七篇を収録。内容(「BOOK」データベースより)
戦前の日本。大きな庭のある裕福な家庭に育った久緒は、あるとき怪我を負って苦悶する植木職人・葉次の姿を見て、自分が苦しみや傷に惹かれる「外道」であることを知る―。特異な感覚を抱きながら昭和を生きた女性の生涯を描いた表題作など、彼岸と此岸、過去と未来を自在に往還する傑作短編全七編を収録。
とき:9月24日(日)10時から
ところ:別府鉄輪ここちカフェむすびの
ご関心のある方は、ホームページよりお申し込みください。
日曜日の朝。おいしい軽食と1冊の本をめぐって。 - 大分・別府鉄輪朝読書ノ会
八月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。主催者のシミズです。八月の課題図書は大岡昇平の『野火』をとりあげて、みなさんと対話しました。
学校などで戦争反対のメッセージとして紹介されたりすることの多いこの作品ですが、実際読んでみると、ただ事実の集積があるだけで、むしろ神の問題や食物連鎖のことなどが大きなテーマになっていることがわかります。私も高校生のとき以来の再読でしたが、印象がまったく違っていました。
遠藤周作の『沈黙』において主人公が転ぶことの極限状態のなかで個人的な神を発見するように、この作品でも戦争という極限状態を通して独自の神を発見する過程が描かれているという話がありました。
今回むすびのさんから提供されましたデザートは、フィリピンで食べられているアボガドコーンイエローというもの。冷たくて美味しかったです。
作品中、鶏が多く出てくることもあり、鳥肉を中心としたお料理が提供されました。スープも鶏皮の出汁が効いていて美味しかったです。そして芋ですね。
参加していただいたみなさま、ありがとうございました。八月は毎年、戦争に関するものをとりあげたいと思っていて、今回『野火』について、みなさんと行きつ戻りつしながら、じっくりと考えられられたのは大きな収穫でした。戦時中の飢えについて考えると、なおさら食事の有り難さが身に沁みます。
次回、九月は皆川博子の『少女外道』をとりあげます。お楽しみに。
八月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内をします。
八月は戦争について考えたく、塚本晋也監督によって映画化もされた
大岡昇平の『野火』を課題図書とします。
内容紹介(「BOOKデータベース」より)
敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける……。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的名作である。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大岡/昇平
1909‐1988。東京生れ。京都帝大仏文科卒。帝国酸素、川崎重工業などに勤務。1944(昭和19)年、召集されてフィリピンのミンドロ島に赴くが、翌年米軍の俘虜となり、レイテ島収容所に送られる。’49年、戦場の経験を書いた『俘虜記』で第1回横光利一賞を受け、これが文学的出発となる。小説家としての活動は多岐にわたり、代表作に『野火』(読売文学賞)『レイテ戦記』(毎日芸術大賞)などがある。’71年、芸術院会員に選ばれたが辞退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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第十七回 別府鉄輪朝読書ノ会
とき:2017年8月20日(日)10時より
ところ:別府鉄輪ここちカフェむすびの
参加希望の方は以下のホームページよりお申込みください。
第十六回の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。主催者のシミズです。今回は別府市で老舗のお味噌屋さんを営む坂本長平商店の坂本さんに写真を撮っていただきました。坂本さんは各地で写真の作品展を開かれています。ありがとうございました。
今回の課題図書は川端康成の『みずうみ』でした。話がとびとびで混乱した、理解できなかった、著者の観察眼の鋭さに驚いた、その変態ぶりにに川端康成のイメージが変わった、登場人物が全員変、意識の赴くままに場面が転換するこの感じはデイヴィッド・リンチの映画に似ている、川端の美少女コレクション、太宰が健全に感じる、川端のシャレのならなさ、などなど思い思いの感想を語っていただきました。
川端の変態についての解釈(尾行とストーカーは違う。距離が大事)や様々に入り組んだ連関的な要素(湯―みずうみー貸しボウトー蛍―水木)、宮子が子宮に読める、宮沢賢治と逆のベクトル、銀平の抱える存在論的な〈かなしみ〉についてなど、さまざまな読みが展開されていきました。作者の思惑を超えた無意識を呼び込む書き方に楽しく翻弄されつつも、人間の暗部を直視するそのまなざしにゾッとする、共感ができる人、できない人、ここまで書いていいのかと思う描写の数々に言葉を失う、そんな作品でした。
新潮文庫の裏表紙に書かれた紹介文。改訂前(手前)と改訂後(後)で違います。
むすびのの店主河野さんから牛蒡茶の紹介。ごぼうの花言葉は〈私にさわらないで〉とのこと。
田中さんから今回の作品にインスピレーションを受けてつくったギョロッケ・バーガーの紹介です。川端康成のギョロギョロした目で相手を見つめるエピソードから聯想とは!
たいへん美味しくいただきました。ありがとうございました。
次回8月は20日開催です。課題図書は戦争について考えたく、大岡昇平の『野火』(新潮文庫)をとりあげます。ご関心ある方はホームページよりお申込みください。