9月のオンライン哲学カフェを開催しました。
今回のテーマは「最近、冒険していますか?」でした。
対話に入る前に、みなさんの最近の「冒険」のエピソードや今回のテーマに関して考えていることなどお聞きしました。
・読書好きだがアマゾンだと自分の嗜好が先回りされているのでブックオフに行って未知との本の出会いを楽しんでいる。今回はグーグル的世界観の中での、未知との遭遇や冒険を考えてみたい。
・スーパーで見知らぬ植物を買ったのが最近の冒険かな。テーマに関しては、冒険してたとえ失敗してもそれが受け入れられるかどうか。冒険はワクワクや生きるよろこびに根ざしていると思う。
・最近は冒険していない。以前は突然来た屋久島ツアーへの誘いに参加して、テント泊や宮之浦岳に登山したりもした。またSNSでこその出会いもあり、インターネットならではの、「新しい冒険」のカタチがあるのではないか。
・私にとっての冒険とは、ふつうの日常生活のなかでのささやかなもの。偶然性による自分が普段選ばないような本との出会いを楽しんだりする。
・珍しい味のソフトクリームなどを頼んでみるのが冒険。
冒険にもいくつか種類があって、日常のなかのささやかな非日常を楽しむといったリスクの少ない「小さな冒険」から、身体的あるいは金銭的なリスクのあるような「大きな冒険」。また自分で選んだ主体性のあるものから、偶然性に導かれたものに主体をさらしてみる試みもある。
「挑戦」と「冒険」ってどう違うのか、同じなのかという問いがなされ、挑戦には失敗はあるけど冒険には失敗がないのではないのか。挑戦は目的がクリアだが、冒険はプロセスこそが冒険と呼ばれるものではないのか。(ピノキオや三蔵法師は冒険であって、挑戦ではないの例)
ある女子学生は授業がすべてオンラインになり、バイトが中止になったりして出会いがなくなったので、出会い系サイトで出会いを求めている。そういう新しい「冒険」もある。
今回は意外?にも女性の参加者がほとんどの回だったのですが、(そもそも男性の参加者が少ないですが)それは男性の保守性に起因しているのではないのかという話から、身近なものを愛する女性とより遠くより高くを目指す男性といった対比の話が出だ。
昨今の口コミサイトの充実は、「金銭の損をしたくない」とか「時間の無駄をしたくない」といったコスパ重視の思考に弾みをつけているが、恋愛さえもコスパで計られており、冒険への忌避があるのではないか。また変化を嫌う風潮も。
新たな問い。大手企業に勤めていた人がベンチャー企業に転職するのは挑戦か、冒険か。転職の動機によるのではないか。経済的な成功を目指すことだけなら挑戦で、失敗するかもしれないけど自分のやりたいことをやるというのなら冒険になるのではないか。その連想で、少年ジャンプのテーマ「友情・努力・勝利」は「友情」の部分があってこそ冒険になり得る。
…といったところで、対話の時間は終わりになりました。特に結論めいたものはだしませんが、最初に考えていた「冒険」像からは僕自身遠くまで来たかなというのが実感です。確かにどなたかが仰っていたように、この哲学カフェ、哲学対話じたいがひとつの冒険ですね。
ご参加ありがとうございました。