対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

【開催報告】第七十三回 別府鉄輪朝読書ノ会

 

 

あのどぎ、おらは見つけでしまったのす。喜んでいる、自分の心を。んだ。おらは周造の死を喜んでいる。そういう自分もいる。それが分がった。

 

『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子

 

 

 

 

 

 

 

六月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。

 

今回は『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子をとりあげて、

参加者のみなさんと感想を交わしました。

 

今日はいつも以上にたくさんの参加者の方に来ていただき、

私はまだ単行本になる前の文芸誌でこの作品を読んでから、

ぜひこの読書会でとりあげたいと虎視眈々と狙っていたので、

今回その機会を得て、嬉しい限りなのでした。

 

 

はじめに自己紹介を兼ねつつ全体的な感想を聞いたところ、

・わかりづらかった、読むのに苦労した

・わたしのために選んだかと思った小説だった

・初めての参加。普段は読書の習慣はないけどこれを機会に読みたい。楽しんで読めた

・作者と同感覚。ドンピシャ。よくわかる

・久しぶりの参加。読めて良かった

・60歳近くても新しいことを始めるマインドにはげしく共感

・初めてで緊張しています。相反する両義的なところに揺れている桃子さん像

・方言、迫力、清潔

・読んで私も解放された

・読む前は泥臭いと勝手にイメージしていたが読むとなんてかわいいハイカラだった

・映画も見たが小説の方が好き

・物事は視点によってすべて両義的な捉え方ができる

・初参加。今まで本をあまり読んでこなかった人生を悔い始めて参加した

・記憶を書いていくことの重要さ

・老いても、まだ新しい認識に達することの重要さを教えてくれた

 

 

 

むすびのさんのこの日のドリンクは作中にも出てきたソーダ水でした。

主人公の桃子さんをイメージしてほのかに桃味でした!

 

 

全体的な感想を聞いた後に、作品内に分け入って、細かく見ていくことにしました。

方言において、最古層の自分が生きている、そこは手つかずの秘境でもある、

そこを探っていく、潜っていく。

古きをたずね、あたらしい自分を手に入れていく、そういう過程を描いているのでは。

 

言葉が変われば、思考も変わる、習慣も運命も変わっていく。

 

桃子さんにとって、周造の死は悲しみでありつつ、喜び。

 

独居老人の話や故郷喪失者の話、宇宙の始まりにまでさかのぼる根源的な問い、

母と娘、東北の気質と都会の違い、八角山のこと、柔毛突起のことなど、

疑問と感想を紡いでいきました。

 

 

今日のむすびのさんの特製メニューは、遠野の郷土料理、団子汁(ひっつみ、かねなり)、河童伝説のキュウリを再現してくれました。たいへん美味しかったです。ありがとうございました。

 

 

話は尽きませんでしたが、時間になってしましました。

ご参加ありがとうございました。

参加したみなさまにとって忘れ難い読書体験となれば嬉しいです。

 

 

 

 

来月は『夏物語』川上未映子(文春文庫)を読んでいきます。

ぜひご参加ください。