対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

中高生向けのこども哲学の時間を開催しました。4.17

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対話中に使いたい【問いの道具】。ほんとはもっと沢山あるけど3つまで

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安心して対話をするためのルールがあります

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コミュニティボールを回しながら対話します

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みなさんが考えたい問いを集めました

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外は眩いばかりの春の光のなか、第3回目のこども哲学の時間(中高生向け)を

別府鉄輪うかりゆハウスで開催しました。

 

 

初めにアイスブレイクの質問に答えながら、それぞれ自己紹介していただきました。

 

その後参加者のみなさんから問いを集めて、そのなかの一つを選んで、

その日の考えるテーマとしました。

 

挙がった問いは、

・本当の友だちをどうやって確かめられるのか?

・大切な人のための暴力なら許されるのか?

・人はなぜ嫉妬するのか?

・どうしていじめは起こるのか?

・人生のレール(小中高大学→就職)に乗らなかったら、どうなるのか?

・自分の意見を言うのをためらうのは何故か?

・自分の意見を言わないのは何故か?

 

どれも考えたい魅力的なテーマだったのですが、最後の2つを1つにまとめて投票したところ、最後の2つを今回のテーマと決定しました。

 

 

職場での具体的な事例から、親子での話、正解を言わないといけない日本の教育の在り方、自分をよく見せたいという思いが素直に意見を言うことを疎外していること、議論するよりも人間関係の円滑さを選んでしまうこと、ある決められた(周囲が決めた?)キャラを演じ、そのキャラに沿った意見を言わないといけない窮屈さ、自分の軸を持つこと、自分の思いを言葉にするには語彙力がいること、学校の外の人生は正解のあることの方が少ない世界が広がっていること、自分のやりたいことを自分のやりたいタイミングと手順でやることが自分の軸を持つことに繋がる、「失敗してもいいよ」という失敗を許容する環境があるかないか、効率だけではない、「正解」に生きる方がラクだけど、、進路を自分で決定した経験

 

 

などなど、対話は終わらず、時間切れとなりました。

 

その場で出て、その場で決めた問い(テーマ)でしたが、みなさん思い思いに

丁寧に自分の言葉を紡いで、周囲もそれを丁寧に聴いていくという場ができていた

ように思います。

優しい穏やかな時間だったなと、終わって満ち足りた思いになりました。

ご参加ありがとうございました。

 

 

 

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今日のオカユ館長は隣の部屋で爆睡してまして、欠席でした

 

【開催案内】第七十一回 別府鉄輪朝読書ノ会

 

 

 

 

アラブ人にとって白は喪の色だといいます。

 

 

文字を奏でる鍵盤に指を持っていきながら考えた。

 

 

この世の生きとし生けるものには声があります。声は生きている証拠であり、幸せと哀しみの兆しでもあります。声は、大きくなることもあれば、途切れることもあり、詰まることもあれば、かろうじて聞き取れるくらいの囁きに変わることもあるでしょう。私たちが生の合唱をしているときは一人一人の声を聞き分けることことは易しくありませんが、急に押し黙るようなことがあると、どのような音、どのような生にも終わりがあり有限なのだという感覚にとらわれます。

 

 

『ペンギンの憂鬱』アンドレイ・クルコフ(新潮クレスト・ブックス)沼野恭子

 

 

 

 

 

 

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四月はウクライナ文学を読みます!

 

課題図書:『ペンギンの憂鬱』アンドレイ・クルコフ(新潮クレスト・ブックス) 

とき:2022年4月24日(日)午前10時00分~午後12時00分

ところ:別府鉄輪ここちカフェむすびの(別府市鉄輪上1組)

参加費:1,200円(軽食付き)


定員:約10名程度 


※事前に読んできていただいて、当日ご持参ください


 

内容紹介 (Amazonより)
恋人に去られた孤独なヴィクトルは、憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家。生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始めたが、そのうちまだ生きている大物政治家や財界人や軍人たちの「追悼記事」をあらかじめ書いておく仕事を頼まれ、やがてその大物たちが次々に死んでいく。舞台はソ連崩壊後の新生国家ウクライナの首都キエフ。ヴィクトルの身辺にも不穏な影がちらつく。そしてペンギンの運命は…。欧米各国で翻訳され絶大な賞賛と人気を得た、不条理で物語にみちた長編小説。




【開催案内】こども哲学の時間 4.17 日曜日

 

 

 

 

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◆「こども哲学の時間(主に中高生対象) in 別府鉄輪うかりゆハウス 4.17 」

先月に引き続いてこども哲学を開催したいと思います。テーマは問いだしから始めて、参加者のみんなから問いを集め、多数決で一つに絞りたいと思います。たとえば、「普通って何だろう?」とか「自分らしさって誰が決めるの?」とか、みなさんで考えたい問いを出し合いましょう♩


○テーマ:みんなから募集して、一つに決めます
○日 時:4月17日(日)10:00-12:00
○場 所:鉄輪うかりゆハウス
○対 象:主に中高生(大人も参加可)
○方 法:感染対策の上、少人数対面で行います
○企画・ファシリテーター:志水
○参加費:300円※10代の参加者は無料です
○定 員:約10名程度(要事前申し込み、先着順)
○備 考:開催前日までにお申込みください。


☆こども哲学のコンセプト★
こども哲学は、正解のない問いをみんなで考え合う場です。大人が答えをもっていて、その正解を「答える」という従来の教育とは違う「問うこと」「考えること」を体験していきます。答えのない問いを前に頭がこんがらがって分からなくなることもあるでしょう。でもそれは大きな進歩です。ルールに従って、大人といっしょに、考えることの森を歩いて行きましょう。

 



 

 

気流の鳴る音

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労働が強制されない社会が実在するか否か、私は今でもしらない。しかしもしそのような社会が存在しうるとすれば、すなわち労働がそれ自体よろこびとして、マルクスが書いているように、人間生命の発現としてありうるとすれば、そこでは必ず、人間と人間との関係のみなでなく、人間と自然との関係が根本から変わらねばならないだろう。あるいは人間の存在感覚のようなものが、市民社会の人間とは異った次元を獲得しなけれならないだろう。

 

序「共同体のかなたへ」真木悠介

 

 

 

 

2022.4.4-10

 

月曜日

生徒、とふたたび海へ行った。

フリースクールに通う人間を生徒と呼ぶのがふさわしいのか分からない。

こども、と呼ぶのも違和感があるし。あくまで仮に生徒と呼ぶこととする。

 

 

100分de名著、ハイデガーの『存在と時間が始まる。

ドイツ語で存在はZein.

語源的には「何かの傍らにとどまるもの」。

これ超重要。

すでになにかと共にあるということが含まれているということだ。

 

 

火曜日

昨日生徒と一緒に拾った砂浜の貝殻や石を使ってハーバリウムをつくる。

ガラス瓶のなかの小宇宙の癒やし。

没頭して作っているときには「今」しかない。

将来のために受験勉強はその「今」を犠牲にしているのかもしれない。

 

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水曜日

生徒とクッキーを作った。

クマの形は脆かった、ハートの形は強かった。

 

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木曜日

生徒は休んだ。

時間ができたので、研修がてら別府ブルーバード劇場で映画「夢見る小学校」を見た。

 

この映画の題材となっているのは、宿題や校則、そして通常考えられる指導的立場にあるような「先生」のいない学校である。きのくに子どもの村学園、世田谷区立桜丘中学校、伊那市立小学校。

 

問う力、考える力を養うには「楽しさ」が重要であることがわかる。

 

勉強主義のレールに乗って私は生きてきたので、それとは別の価値観や世界があることを実践していきたいと思う。

 

 

帰りに別府フリースクールうかりゆハウスのフライヤーを置いて貰うよう、

いろいろ歩き回って頼み込む。

別府のトキハや別府駅内のインフォメーションセンター、

南高架下商店街のお肉屋さんや揚げパン屋さん、北高架下の雑貨屋さんなどなど、

快く貼ってくれたり、置いてくれたりしていただいた。

別府の懐の広さに副代表のりんさんと感動する。

 

 

金曜日

〈生徒〉は早く帰ったので、時間ができる。

早く帰りたければ早く帰っていいし、休みたければ休めば良い。

まずは自分で決めてみるが良い。強制はなにもない。

 

 

 

土曜日

久しぶりに休日感を味わう。

読書する。

読書する時間があることが、心にゆとりができる。

 

 

KさんとZoomで打ち合わせ。

これは偶然なのか分からないけど、Zoomなどのオンラインシステムの流行と

コロナの流行が完全に併走していて、オンラインの力について改めて驚いた。

 

 

コロナが流行って、変な話、学校を休みやすい環境ができたら、

学校に行っていたけど、本心ではあまり生きたくなかったこどもたちに、

行かなくてもいい理由ができて、休んでいる。

コロナが学校を、社会を変えるかもしれないと思った。

そういう「黒船」的な外部要因でないと変わらないな。

 

 

 

夜は、みんなで教育について考えるオンライン哲学対話を開催。

テーマは「自分の意見を持つとはどういうことか」。

 

「自分の意見を持て」という発言は、そうそう簡単ではないと思った。

 

 

 

日曜日

このところ、ずっと天気が良くて、夏を思わせるような気候で、

土や草のにおいも薫ってきて、本当に気分がいい。

 

 

真木悠介氏の訃報を聞く。

真木悠介氏のことを知ったのは随分前だが、

下北沢に「気流舎」という名前のブックカフェの存在によってだった。

(ここのロゴを作ったデザイナー綿貫宏介氏の名前も気流舎によって知った。

綿貫宏介氏にロゴを作って貰いたいという夢があったが、昨年物故された)

真木氏の代表作『気流の鳴る音』はそれから読んだ。

その後の人生においても、この本を紹介されることが多かった。

多くの人にとって勇気を与えられ、読むと元気になる本だからだろう。

 

 

今自分が考えるのは、彼が夢想したコミューンと(宇宙的な)、

対話による探求の共同体が出会う場所である。

『気流の鳴る音』の冒頭、山岸会的なものとしての「話し合い」と、

紫陽花邑的な「(共)感覚」を対比させて、後者の方を重要視している。

でも、その両者が融け合っている場もまたあるのではないのか。

そんなことを夢想している。

 

 

 

 

唖者は唖者ではない。唖者は周囲の人々が聴く耳を持たないかぎりにおいて唖者である。

 

 

そういう「とりえ」の何もないような人たちが楽しく生きていかれる場所を、私は作りたかったのです。

 

 

序「共同体」のかなたへ

 

 

 

 

【開催報告】みんなで教育について考えるオンライン哲学対話 4.9

 

 

 

近年の大学では新入生に「問いを立てろ」と言うことが多い。でもそんなこといきなりできるわけがないので無視してよい。大事なのは厖大な読書を通して知を身につけ、これまでにない経験を求めること。そして社会に違和感や不満を持つこと。それでやっと問題が発見できる。問いを立てるのはそれからだ。

 


それから最近の大学ではアクティブラーニングと称して無理に他者と対話させ、自分の意見を言わせる授業が増えた。何度もやればそれなりに慣れてくる。でもそんな風潮に慣れなくていい。自分の意見を持ったり問いを立てたりするのには厖大な時間をかけた学びが必要である。焦らずにじっくりと学ぶこと。

 


映画を観て自分がなぜ面白いと感じたかをわかりやすく言語化できる映画を10本観るよりも、よくわからないけどなんか気になる(評価が分裂しているような)言語化しがたい映画を2回繰り返して観た方が、映画を分析するスキルはあがると思う。

 

 

北村匡平さんTwitterより

 

 

 

 

 

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4月の「みんなで教育について考える哲学対話」を開催しました。

 

 

今回のテーマは「自分の意見を持つとはどういうことか?」

みなさんと対話しました。

 

 

・ずっと気になっているテーマ

・他者と考えを共有するにはどうすればいいのか

・自分の印象を意見にまで育てる方法を知らないのではないか

・質問がありますか?という問いに、コメントで返してくることが多い

・意見と感想を区分けすることが大事なのでは

・シンプルなデザインが欲しいという場合の、その「シンプル」の中身を

言葉で説明できない

・自分に意見なんて言っても…という諦めが先立っている

・意見を言わない習慣ができている

・子どもにはそうなってほしくないけど、どうすればいい?

・意見を評価される日本の風土

・だめな意見はないという前提のイギリス

・模範解答のある日本

・ありのままの意見を言っても訂正される

・信念と事実を分けること

・意見には、信念や生い立ち、自分らしさなどが入り交じる

・常に根拠を提示させること

・意見はあくまでスタート地点という考えが共有されにくい

・孤立するのではなく、大きな論に自分が石を投げるように貢献できるかどうか

・言いっぱなしは日本では悪いこと(無責任)

・言いっぱなしだからこそ、新しい問いが生まれることも

・自分の意見を持たないと全員右へならえで全滅する危険がある

・意見にはオリジナル性が求められるけど、、

・街頭インタビューでの意見の紋切り型

・自分の意見を言う前に、空気を読んでしまう

・期待される「正解」を先に読み取って、それを意見とする、、

・欧米での「真理」観。なにごとも議論を通さないと真理に近づけないとする

・単独の意見は真理ではない??

 

 

というところで時間がきてしまいました。

 

 

個人的に気になったのは、自分の意見を言うことに抑圧を感じているところ。

ちゃんとしたこと(正解)を言わないといけないというプレッシャーがある

ということ。

 

 

こうして続けている哲学対話の目的のひとつとして、そういった抑圧からの解放というのが裏テーマとして一つあります。初め参加していたときは意見が言いづらかった人も続けて参加しているうちに、自然に発言できるようになる場面を何度も見ています。そういった一助になれば主催者として嬉しいですね。それは大袈裟に言えば、「自分の言葉」を取り戻すことかもしれません、もっと言えば自分の思いを自分の胸の内を公衆に話してもいいんだという許可を自分に与えるみたいな。それは他者がするのもではなく、自分自身が自分に出さないといけないものなので。場合によっては、一生かかることかもしれません。

 

 

ご参加ありがとうございました。

 

 

 

 

【開催案内】みんなで教育について考えるオンライン哲学対話 4.9

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先日ある高校での哲学対話に参加したのですが、自分の意見を持っている生徒が少なく、あとは集団に埋没しているような印象を受けました。意見がないのは当然で、そもそも自分の意見を考えたり言ったりする機会が学校や家庭、地域でなされていないからだと思います。自分の意見をもつとはどういうことか、みなさんと考えたいと思います。


○テーマ:「自分の意見をもつとはどういうことか」
○日 時:4月9日(土)20:00-21:45
○方 法:Zoomを使用します。
ファシリテーター:シミズ
○参加費:300円*paypayかamazonギフト券でお支払いください。
○定 員:約15名程度(要事前申し込み、先着順)
○備 考:開催当日お昼までにお申込みください。
○前回の報告:https://kannawadokusho.hatenablog.jp/entry/2022/02/13/125623

 

 

お申し込みフォーム

ws.formzu.net

 

ふるカフェ系 ハルさんの休日

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Eテレで僕の好きな番組のひとつ「ふるカフェ系 ハルさんの休日」

今週放送分は、なんと別府鉄輪朝読書ノ会の会場で使わせていただいている

鉄輪温泉のここちカフェむすびのさんが取り上げられます。

 

企画段階で、読書会の風景も撮りませんかとディレクターに提案したのですが、

時間配分的に厳しかったようです。。残念。

 

カットされていなければ、僕も住民としてちらっと出演しています。

 

 

放送予定日は以下のとおりです。

お時間ある方は、ぜひご覧ください。

 

放送日:Eテレ 
4月  7日(木)午後10時30分〜午後10時55分
4月10日(日)午後6時30分〜午後6時55分
4月12日(火)午後1時30分〜午後2時