対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

歯の痛いナイチンゲールのように

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刃はたちまち曇り、舌には明確な冷たさの果てに、遠い甘味が感じられた。

金閣寺三島由紀夫

 

 

 

2022.1.24-30

 

月曜日

今日からNHKの撮影。昨日までの雨はやんだ。

Sディレクターは晴れ男のようだ。

 

 

 

金閣のように厳密な一回性 『金閣寺三島由紀夫

 

 

 

そう、文学は科学と違って、厳密な一回性を取り扱うのだ。

われわれの生もまた、再現性のない厳粛な一回性に満ちているではないか。

 

 

 

火曜日

なぜか4時過ぎに目が覚めて、そのまま。

今日はだいぶ気温が上がった。

 

 

母屋の水道代が跳ね上がっていて、どうも漏水しているようで、

親戚の設備会社にSOS。

100年もそのままの鉄管が錆び付いている。

今は塩ビ管が普通とのこと。

 

 

寒さは人を内側に鬱屈と折り込めさせる。灰色の風景も。

これも見えなくなったリズムだろう。冬眠は生体の理にかなっている。

うちの猫は去勢しているけれど、ある時期になると落ち着きがなくなる。

消えない律動が、行動を制限させているのかもしれない。

あるいは周囲の去勢していない猫の反映を受けるとか。

 

 

 

水曜日

撮影も大詰め。某俳優さんが来鉄。

 

今日はあたたかくて天気もよく撮影日和だ。

 

 

曜日と曜日の間には空白がある。

昨日と今日を同じにしたくない、別に分けていたい思いのあらわれ。

たしかにそこには違う色彩がある。月曜日と金曜日が同じ色のはずはない。

 

 

木曜日

エキストラで出演。某俳優さんに挨拶する。

細かいところまで声かけしていただいて優しい方。

自分の子供の頃家の前に住んでいた幼馴染みにそっくりなので、親しみを感じる。

骨格の問題だろう、お顔が似ていると声まで似ているのだった。

 

 

午後は別府フリースクールうかりゆハウスの打ち合わせ。

凜さんの歌レッスンの企画、こども哲学の企画、多文化に生きる参加者の企画など

2月は盛りだくさんだ。

 

 

東急ハンズが買収される。

25年位前に訪れたときは、その物、物が並ぶ衝撃を受けた。

その抗菌無菌を思わせる潔癖な品揃えの光景は、ディズニーランドを思わせた。

今では100均などたくさんの物が並ぶ光景は普通かもしれないけど、

当時としてはなかったな。それもやはりアマゾンなどに負けてしまうのだろう。

 

 

 

金曜日

鍋の具材のなかでは、主張の薄い豆腐が一番好きだったりする。ただそれも鍋というポリフォニックな場において、濃いものと薄いものが共にあり、お互いを引き立て響き合っているなかでのことで、単体だけを抜き出して語るのもフェアではないかもしれないが、あのほろろとする薄い大豆の味になにかほっとさせられるのだった。

 

 

 

土曜日

ガソリン代が尋常じゃなく高い。

いろんな人が言っているけど、ガソリンにかかっている税を減らしてくれ。

 

お昼から朗読部を開く。

間、間に談話をしながら朗読をするのがなかなかたのしい。

島崎藤村の「初恋」の初々しさを声で以てなぞっていく。

声としての文学をたのしむ。

 

 

夜はオンラインで哲学カフェを開催。

今回のテーマは「多様性を阻むものとは」について。

阻む側、阻まれる側、拭いきれない異質意識をどう乗り越えるのか。

同じになるのではない、違ったままで、共に生きれるのか。

 

 

 

日曜日

今年最初の別府鉄輪朝読書ノ会を開く。

吃音者がつねに世界から遅れをとり、ズレていること、

そして三月生まれの者もそうであることの指摘が興味深かった。

私も三月生まれなので。

 

 

あと京アニの放火と金閣寺の放火を同列に語れるのかどうかという問い。

意見が分かれたが、前者も同じように京アニを思慕して観念化しているという点では

同型だと思う。たしかに人を殺したか否かの差は大きいけれども。

そしてどちらも京都!