向かいのアパートで明かりのついている窓は三つだけ。さっきまで灯っていたのとは別の窓だった。あの窓のむこうでうごめいている人たちは、ヴィクトルのことになど何の関心もないだろう。できれば、この間の眠れない夜、目にしたあの女性の姿を見たかった。でもその人が見当たらなくても、安らかな気分は乱されなかった。
『ペンギンの憂鬱』アンドレイ・クルコフ(新潮クレスト・ブックス)
四月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回とりあげた作品はロシア語で書かれたウクライナ文学
アンドレイ・クルコフの『ペンギンの憂鬱』をみなさんと読んでいきました。
・小説を読むことの喜びを改めて味わえた
・ニュースで聞いたウクライナの地名が出てきて胸が痛かった
・まさに今読むべき小説だと思ったので参加しました
・寓話のようであるけど、切実さがある
・昔の日本のような懐かしさがある
・かつての共産主義の良き人間関係がまだ残っている描写も
・猫でもなく犬でもない。ペンギンのオバQのような形状と歩き方が効いている
・「ペンギンじゃない方のミーシャ」という表現がおもしろい
・料理が簡単で良い
・発表当時の1996年ではなく、今読むからこそ分かるものがあった
謎の多い作品。
また宗教やユダヤ人などの背景が分からない箇所も多々ありながら、
いろんな推測を重ねながら、各参加者の読みを聴いていきました。
この日のむすびのさん特製のドリンクは、
ウクライナの「ウズバール」というドライフルーツを水に入れて沸かした飲み物。
シナモン、蜂蜜が入っていて、ウクライナでは食事の時に飲むそうです。
美味しかったです。
ビーツの赤にサワークリームの白が効いています。
日本で言うお味噌汁のようなものだそうです。
パンにワケギと豚肉の塩漬け(サーロ)。
そして大麦の粒とくるみ、ポピーシードと蜂蜜のクティアというお菓子。
今日は文学と食事で〈ウクライナ〉を体験しました。
どれも美味ですばらしかった。ご提供ありがとうございました。
ご参加ありがとうございました。
今回は雑誌「セーノ!」を見られて参加された方も多かったです。
川端康成の『眠れる美女』にインスピレーションを受けて書いた最晩年の作品
『わが悲しき娼婦たちの思い出』を読んでいきます。