対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

あらゆる場所に花束が…

 

 

 

 

とりわけ患者を理解しないようによくよく注意しなくてはいけません。理解してしまうことほど皆さんを惑わすものはありません。ラカン

 

 

 

 

2022.5.30-6.5

月曜日

ホームドア川口加奈さんのトークイベントをオンラインで視聴。

わたしの原点にホームレスがいることを思い出した。

その顔、その目、同じ目を(さびしい)した子どもとその後出会った。

ホームレスもフリースクールも命と尊厳の問題として私にはあることを確認した。

 

 

火曜日

久しぶりのランニング。

走ると気持ちいい。

 

 

 

水曜日

六月の始まり。まだ梅雨には入っていない。

 

 

クローズアップ現代桐野夏生さんのインタビュー。

以前鉄輪朝読書ノ会でとりあげた『夜の谷を行く』も題材にとりあげられていた。

 

「あなたに責任はないよ」

 

この言葉、自分にもあらゆる人にも伝えたい言葉。

 

でも、自分の身に起こったことを引き受けて初めて自分の人生が始まる。

 

そのことも伝えたい。

 

 

 

木曜日

録画したサッカー日本代表パラグアイ戦を見る。

試合鎌田選手の脱力。原口選手の急所を衝く動き。

どちらの動きも知性が感じられた。

 

 

対話の困難性というのは、たしか阿部和重の小説にも書かれていた記憶があるが、

そもそもばらばらな者同士の対話よりも、同じ目的をもった者同士の対話の方が、

お互いの差異が際立ってきて、そのズレをきちんと修正していかないと、

不満や方向性がそずれ、大きな断絶が生まれてしまう。

たとえば右翼と左翼の論争よりも、連合赤軍内での争いとか。

 

 

金曜日

以前の仕事でつながった人からメールをいただく。

 

斎藤環氏の引きこもりに関する論考に勇気をもらう。

私はアドラーよりラカンの方に、勇気をもらう。

 

「程よい欲求不満」

「自己愛の適切な成長のための他者」

「変容性内在化」

「意表を突く方向性」

「意外性のある言葉」

「他者の存在なしに欲望は生まれない」

「会話の重視」

「家族が子どもに対社会的なスキルを与える力は弱い」

「他人の自己愛に対しても配慮ができるようになっていく」

「終わらない思春期」

 

 

今まで学んだ色んなことが現実に揉まれることによって、

違う景色が実感とともに立ち上がってくる。

寄り添うとか、居場所とか、対話とか、支援とか、

複雑な響きをもつようになった。

 

 

 

土曜日

月1の対話勉強会。オンラインで。

今回はVTS(Visual Thinking Strategy)についてKさんに発表してもらう。

感想ではなく事実を根拠として考えるトレーニングを繰り返す。

なかなか確かにいい訓練だと思ったが、

事実への信仰がなければ成り立たないし、感想や情緒こそが世界を成り立たせている

のかもしれず、また色盲だったり、未開社会において、同じ「事実」が共有できない

という点においては、ユニバーサルではないから、そこの限界はある。

 

 

 

日曜日

 

雨が降りしきる。

新しい窓は防音が効いているのか、

外の雨音が心地よく聞こえてくる。

これもデザインの力。

くぐもった雨音が思索を誘う。

少し肌寒くもあり、猫が膝にのってきた。

だんだんその窓を洗うような雨になってきた。

 

 

頼んでいた額縁が届いた。

ルドゥーテの絵を入れて飾る。

 

 

 

気象学と精神医学には類似点がいくつもある。実際上枚挙できないほど非常に多数の因子が働いて、比較的単純に記述できる少数の状態(晴天、曇天、雨天など)を地球上の任意の一点において作り出しているのが気象である。中井久夫