長い時間を、たった一人で過ごしてきたことに、自分が自分を哀れに思っているのだった。誰とも、何も分け合わなかった、この孤独が、自分の受けた罰かと思う。
『夜の谷を行く』桐野夏生(文春文庫)
三月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。
今回取り上げた作品は桐野夏生さんの『夜の谷を行く』でした。
そんな作品を選びました。
この機会がなければ、知らなかった歴史的事実が多かったという感想が聞かれました。
ある組織が夢見る理想に向けてひた走るとき、
その足並みを乱す者は排除されるというのは私企業でもよくある話ですが、
それが社会の外、法の外に出てしまった場合は純化、先鋭化し、
恐ろしい結末を迎えるというのは繰り返されていることではありますが、
連合赤軍には、そこにに「女性解放」や「新しい子ども」を育てるという
もう一つの夢があったことはあまり知られていません。
私だったかもしれない永田洋子 鬱血のこころは夜半に遂に溢れぬ
道浦母都子「無援の抒情」
連合赤軍事件の犠牲が革命の財産になりきれていないことが、この哀しみの極みです。
むすびのさんの今回のテーマは1971年、72年で、
ドリンクは72年から発売された今も続くベストセラー「明治ブルガリアヨーグルト」。
軽食は、なんと浅間山荘事件のテレビ中継がでヒットのきっかけとなった
「日清カップヌードル」に、72年の沖縄返還をモチーフに豚肉ミンチの豚味噌ごはん
アンダンスーと、にんじんしりしりでした!
作品と同じく意表を突かれたメニューでした。たいへん美味しかったです。
ご提供ありがとうございました。
次回四月はウクライナ文学の『ペンギンの憂鬱』アンドレイ・クルコフ(新潮クレスト・ブックス)を読んでいきます。