対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

盲亀浮木

瞑想のなかに平和がある。瞑想自体がその動きだ。それは発見されるべき目的地ではない。思考とか言葉によって組み立てられたものではない。瞑想の行為が知性だ。瞑想は、あなたがこれまで教えられてきたことや、経験してきたことではない。学んだり経験して…

魯魚章草

毎朝見るたびに、はつとするほどその書が新らしい 高村光太郎「黄山谷について」 2023.1.30-2.5 月曜日 教えている生徒さんの字が突然上手くなって、 もちろん練習の成果であるわけだが、 自転車に乗れるようになるように、 ある日突然、それは訪れる感の方…

【開催案内】別府鉄輪朝読書ノ会 2.19

しかし、これはどうも仕方がない!罪はどうもペテルブルグの気候にあるのだから。 『外套・鼻』ゴーゴリ 二月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。 ゴーゴリはロシア文学を代表する作家ですが、出身はウクライナです。 ◆「別府鉄輪朝読書ノ会 2.19 」寒い二月は…

汗牛充棟

汗牛充棟(コトバンクより) 本が非常に多いことのたとえ。[使用例] その原書の由来と説明とは、いわゆるファウスト文献、一層広く言えばギョオテ文献があって、その汗牛充棟ただならざる中にいくらでもある[森鷗外*訳本ファウストについて|1913][使用例…

【開催報告】別府鉄輪朝読書ノ会 1.29『愛のゆくえ』

今、この仕事ができるのはアメリカ広しといえどもわたしひとりきりだろう。そしてそれが今わたしのしていることなのだ。ここでの仕事が終わったあとは、なにかほかのことを探すつもりだ。未来にはたくさんのことが私を待ちかまえていると信じている。 ああ、…

漂流教室

2013 涙の兆しはないが、景色からあふれてくるものに浸されている気がした。通夜の客に姿を変えて、故郷というものがあふれてくる、と思えた。 『鳥を探しに』平出隆 メカスは、自分にとってワールド・トレードセンターとは、北斎にとっての富士山のようなも…

Nagasaki , 2010 意拳は実際の組討の中で、往々にして「只一下(ただ一撃)」で戦いを終える。この意拳の奇異な現象を、多くの人は「奪力一摶(すべての力を振り絞って殴りかかる)」、「孤注一擲(すべて運に任せて一息に勝負に出る)」などと理解し、甚だ…

複数の窓、窓から窓へ

Atami , 2006 するとそのとき、こういったさまざまの文学的関心とはまるで別のところで、それとはまったく関係なしに、突然、一つの屋根、一個の石の上にきらりと光る太陽の光、ある道から立ち上がる香りが、特別な喜びを与えて、私の足をとめさせるのだった…

【開催案内】第八十回 別府鉄輪朝読書ノ会 1.29

ぼくにわかっているのは、そこにいなければならないということだけさ。それがぼくの仕事なんだ。あそこにいなければならない。 『愛のゆくえ』リチャード・ブローティガン ついに別府鉄輪朝読書ノ会も八十回! 年明けての課題図書はブローティガンの『愛のゆ…

謹賀新年 2023

元旦は晴れて風なし、おだやかな一日だった。 行く年来る年は私の好きな唐招提寺が出てテンションが上がった。 年末は恒例のドキュメント72を見ていた。 年末にちょっと不運なことが起こったが、見方によれば幸運だったかもしれない。 厄との付き合い方は前…

大晦日 2022

2022.12.31 年末から年始にかけるこの時期がとても好きだ。 内省的になるし、振り返り行く末を見つめる時間が静寂のなかにあるからだ。 この年末に心にのこった言葉。 幸せとは、同じ志をもつコミュニティで頼り頼られ生きることという、 ハーバード大学の研…

九州鉄道記念館 2022.12.25

特別鉄道オタクというわけではないが、 にちりんや寝台特急富士に関しては個人的な思い入れもあり、 九州鉄道記念館につい立ち寄った。 思いのほか充実していて、行って良かったと思った。 グッズ売り場では散財。 鉄でできたブックエンドが死ぬほどほしかっ…

冬の下関・唐戸市場・赤間神宮 2022

日本海側に近いせいか、大分よりだいぶ寒さを感じた。 それだけに酒や海鮮が美味しくしみた。 下関は海洋とそれにつづく大陸へと開かれた土地で、 コリアンタウンなどすぐにそれを感じられる。 歴史の熱い吐息が何度もはかれた。 赤間神宮は不思議な印象を残…

冬の関門海峡 2022

クリスマスに門司、関門海峡、下関、唐戸市場を旅した。 写真をつらつらと。 海峡にロマンあり。 関門海峡は本州と九州が卍のような絡むような形になっていて、 九州の突端が北にあり、本州の突端は南にある。 盲腸のようなぷるるんと突き出た感じがそれぞれ…

入門者は入門できず

次にカクレキリシタンの名称であるが、長崎県下各地において彼ら自身はみずからカクレキリシタンとは称してこなかった。生月では「古ギリシタン」「旧キリシタン」、平戸では「辻の神様」、外海では「昔キリシタン」「古ギリシタン」「しのび宗」、五島では…

【開催報告】第七十九回 別府鉄輪朝読書ノ会 12.18

吾平は寝る時も枕元に算盤を置いた。ふと、商算がうかべば、人の寝しずまった深夜にも、まだ空が白まない夜明け方にもむっくり起き上がり、寝床の上に几帳面に端坐して、一心に算盤をはじいた。油垢に黒く光った算盤の上を、節くれだった太い指先が、飽くこ…

鳥を探しに

私がベンヤミンに惹かれる理由のひとつは、そこかもしれません。彼は、最初から断片として構想された形式は、人類の最後の日における美しきものの像を確保している、というのです。 『鳥を探しに』平出隆 2022.12.5-11 月曜日 クロアチア戦、敗北、残念。 で…

セルゲイ・ミロンコビッチ・サビッチ

人間の幸福というものの幻のような、おとぎばなしのような性質が彼には興味深かった。 『幸福』チェーホフ 2022.11.28-12.4 月曜日 みんなでみかん狩りヘ。 農園は丘陵の上にあり、目線の彼方には海が見える。 潮風を浴び、農薬を使っていない、露地栽培。 …

【開催案内】哲学カフェ大分 12.17

◆「哲学カフェ大分 12.17 」 ※対面のみ今回は「出会うことは偶然なのか必然なのか?」をテーマに哲学対話をしたいと思います。出会いには、恋人、配偶者や友人、師もあるでしょう。また人だけではなく、本や一篇の詩、学問、映画や土地との出会いもあるかも…

【開催案内】別府鉄輪朝読書ノ会 12.18

「阿呆たれ!大阪は人間でいうたらへそや、大阪商人が闇稼ぎしたら、日本中にほんまの商人無うなってしまいよるわ、大阪商人の根性はなあ、信用のある商品を薄利多売して、その労苦で儲けることや、大阪の根性も知りくさらんと、ど性骨叩きあげたろか、闇屋…

光りを伝える

いやはや、なんのための議論になったのでしたかな!初めは健康のことだったのに、死ぬ話になっちまうなんて。チェーホフ『ヴェローチカ』 光を伝える!こういう言葉は、会話にも本にもありませんが、それを考え出し、頭の中に見つけ出したのですからね!『聖…

【開催報告】第七十八回 別府鉄輪朝読書ノ会

落ちついて考えて見ると、全く何も用事がない。行く先はあるが、汽車が走って行くから、それに任しておけばいい。 『第二阿房列車』内田百閒 11月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回みなさんと読んだ作品は内田百閒『第二阿房列車』でした。 別府に…

OAB大分朝日放送さんからこどもの哲学の取材・撮影を受けました。

OABさんが当フリースクールのこども哲学を取材・撮影してくれて、先日「じもっと!OITA」で放送されました。端的にこども哲学をまとめていただいて嬉しかったです。YouTubeにもアップされたので、ぜひご覧ください。 ↓ www.youtube.com

人間への全き無関心

長い、露のやどった口ひげを撫でながら、彼はずしりと馬にまたがって、何か忘れものがあるか、言い足りないかといったふうで、目を細めて遠くのほうを見た。いちばん地平線や果てしない曠野のあちこちに聳えている物見や古墳が、いかめしく、ひっそりと見お…

【開催報告】哲学カフェ大分 11.19

2年9ヶ月ぶりに対面での哲学カフェを開催しました。 久しぶりに会えた方、オンライン以外で初めて対面した方など、 「会う」ことの重みをじっくりと感じながら、 「会うって必要?」をテーマにみなさんと哲学していきました。 会うことの大切さを認識しつつ…

その藍いろの影といっしょに 舞踏の範囲に高めよ

〔断章六より〕衝動のようにさへ行はれるすべての農業労働を冷く透明な解析によってその藍いろの影といっしょに舞踏の範囲に高めよ宮沢賢治「生徒諸君に寄せる」 2022.11.7-13 月曜日 新装したサッカーシューズでこどもたちとボールをひたすら蹴る。 蹴って…

「誰かのけがを祈らない」人になるために

ついにはありがたいことにまったく顔を見せなくなったころ、ヘイノ・ヴァンダージュースは視野の隅の方で、粗面積みの石壁と波打つニレの木の合間にきらきらと光る翼の付いた物体が見えたような気がしたことが一度か二度あった。そして奇妙なことに、それが…

哲学プラクティス連絡会のご案内 11.12

11月12日にオンラインで開催される哲学プラクティス連絡会のワークショップに、 ファシリテーターとして参加します。 テーマは「対話のあとのファシリテーターのふりかえり、どうしてますか?」です。 ファシリテーター経験者やそうでない方にも、興味のある…

【開催案内】第七十八回 別府鉄輪朝読書ノ会

私の座席の窓は曇らない。 内田百閒『第二阿房列車』 十一月の別府鉄輪朝読書ノ会の案内です。 今年は鉄道開業150周年とのこと。十一月はレールの繋ぎ目が刻む音を愛する究極の鉄ちゃん、内田百閒の『第二阿房列車』(新潮文庫)を読んでいきます。第一阿房…

It must be heaven.

いま、また日本は滅びのプログラムの中に入っている。 どんな国家も、大帝国も、その繁栄は永劫不変ではないから、この日本の衰退と滅亡は驚くにはあたらない。私たちは、ただ今回の滅亡の際には、前回のように近隣諸国にあまり迷惑をかけることなく、静かに…