アーレントは、公共的空間を「人びとが自らが誰(who)であるかをリアルでしかも交換不可能な仕方で示すことのできる唯一の場所」として定義する. 『公共性』齋藤純一 あこがれの唐津 洋々閣へ宿泊した。 雨が降っても、夜になっても、その佇まい、細部まで…
公共性は、何らかのアイデンティティが制覇する空間ではなく、差異を条件とする言説の空間である。 『公共性』齋藤純一 武雄市図書館の近くにある武雄神社を参拝して、 その奥に武雄の大楠が立っていた。 大楠に行き着くまでの道が新緑の木漏れ日に溢れすば…
公共的空間とは、自らの「行為」と「意見」に対して応答が返される空間である. 『公共性』齋藤純一 隣接する武雄市こども図書館へ。 人口5万人の小都市にこどものためだけの公共図書館があるというのはすばらしい。 地域のお父さんお母さんに利用されていた…
ところが、私たちが”privacy”という言葉を用いるとき、それはなによりもまず剥奪deprivationを意味するとはもはや考えない。 第二章 公的領域と私的領域『人間の条件』ハンナ・アレント 「私的」であると言うことは、他者の存在が失われていることを意味する…
畝が湿っている時の安心感と言ったらない。その後に晴れて、畝の表面が乾燥してきているけど、指で穴をあけると、中がまだ湿っている時、それを確認するのが好きだ。こんなことが好きだなんて、僕は知らなかった。僕は好きなものが増えた。 『土になる』坂口…
別府市教育委員会が主催する【湯のまち学びのカレッジ】の講座を担当することになりました。タイトルは哲学対話DE交流「高校生×市民」〜未来の公民館をみんなで考えよう(全3回)です。身近に高校生がいましたら、薦めていただけると嬉しいです。 哲学対話…
「港に入ったと思っていたら沖に放り出されていた」 ドゥルーズがフーコーの仕事を評して使うライプニッツの言葉。 月曜日 ・よい仕事に出会えたこと ・よいパートナーに出会えたこと ・よい趣味に出会えたこと 人生この3つのうちどれか一つあればよい人生だ…
藤さんはいいよな、おれと同じだけ残業したって家に帰ればああいう食べ物が頼まなくても出てきて、朝飯も昼の弁当も用意されていて、食べることを考えなくたって生きていける。 『おいしいごはんがおいしく食べられますように』高瀬隼子(講談社) ◆「別府鉄…
紫丁香花の大きな樹 自由が出現したのは…彼らが「挑戦者」となり、自らイニシアティヴをとり、そのことによってそれと知ることも気づくこともなしに、自由が姿を現わすことのできる公共的空間を彼らの間に創造し始めたからである。 ハンナ・アーレント『過去…
彼等は山の中にいる心を抱いて、都会に住んでいた。 『門』夏目漱石 四月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 満員御礼の、キャンセル待ちの回でした。 今回で7周年を迎えまして、ここまで続けられてうれしいです。 今でも毎回新しく初参加して、リピート…
静寂はたましいの栄養だ そんな言葉が頭をよぎる。たとえば山の夜、雪が音を吸い取ってしんしんとした夜なんかに ある種の静けさと対峙するにはパワーがいる。裸の自分と向き合うのだから。それはたましいにとって、とても大事なことだ。この静寂と真摯に向…
「利他」コトバンクより ① 他人に利益を与えること。自分を犠牲にして、他人のために尽くすこと。人々に功徳(くどく)、利益(りやく)を施して救済すること。※三帖和讚(1248‐60頃)浄土「自利々他円満して 帰命方便巧荘厳、こころもことばもたえたれば、不可…
あの美しい野草の名前を知りたい その草たちに囲まれ 休みたいと思っていた ここでもいいし この地球のどこか別の場所でもいい。 充分だというものはない そんな休息はない。 無邪気な小鳥たち 砂漠 朝顔が 選ばなければならない 慣れ親しんだものから離れな…
四月の哲学対話の案内です。 参加希望者は参加フォームにてお申し込みください。 ◆「哲学カフェ大分 4.15」 ※対面のみ4月は「利他」をテーマに哲学対話をしたいと思います。利他は利己の反対です。コロナ禍のなかで注目された考え方でもあります。寄附をする…
作家は、しだいに自分自身の言葉の機能を洗練してゆくことによって、あるいは、作家そのものの機能を純粋化してゆくことによって、小説を書くということを、自分が、世界にこういうふうに自分自身の内部に光をあてているんだと提示し、それによって読者とい…
ある時はひそかに過ぎた春を回顧して、あれが己の栄華の頂点だったんだと、始めて醒めた眼に遠い霞を見る事もあった。 『門』夏目漱石 ◆「別府鉄輪朝読書ノ会 4.23 」四月は夏目漱石『門』(新潮文庫)を読んでいきます。略奪婚の先に幸せはあるのか――。たま…
小説はともかく、基本的に本は難しいものでした。それを繰り返し、ていねいに読んで、それまで知らなかった語彙を知り理解することによって、生きるための指針を得たり、必要なことを学ぶ。先生は難しいことを言うものであり、それを聴いて何を言わんとして…
なにしろ、わたしが知らないうちにとつぜん何かが終ったのであり、そして今度は早くも、わたしが知らないうちにとつぜん何かがはじまっていたのである。 『挾み撃ち』後藤明生 三月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 今回は前回のゴーゴリ『外套』に憧れ…
こんな切れっぱしでわたしはわたしの崩壊を支えてきた 『水死』大江健三郎 2023.03.13-19 月曜日 大江健三郎の訃報をツイッターで知る。 未踏の地を歩くときに、かすかにいくあての目印となる星のような大きな大きな存在。 魂の問題をこれほどまでに文学の射…
谷々に、家居ちりぼひ ひそけさよ。山の木の間に息づく。われは うみやまのあひだ 釈迢空 2023.3.6-12 月曜日 河北秀也氏のいいちこ展の影響もあり、 フレスコモデルのいいちこ麦麹を呑んでみたら想定外に体にしっくりくる美味しさで 沼りそう。デザインも唯…
「たまには遊びにきてください」いいちこ 2023.2.27-3.5 月曜日 いい天気だった。 目に映る色彩に赤や黄色がはいってくる。 花粉症の不快感とは別に待ち望んだ季節の生のよろこばしさと直結す。 火曜日 花粉というものの不快感が気力を奪うことも。 水曜日 3…
こんにちは。3月4月は別れと出会いの季節です。うかりゆハウスでも学校へ通い始める生徒もいます。ただ私たちは「卒業」や「お別れ」「おめでとう」という考え方はしません。学校に行っていても多様な学びの場として、いつでも遊びに来てねと言うスタンスで…
不安と絶望を少しでも感じることがこの地上に存在できる最良の道だ。 「ゴダールの決別」 啐啄同時 学ぼうとする者と教え導く者の息が合って、相通じること。 鳥の雛ひなが卵から出ようと鳴く声と母鳥が外から殻をつつくのが同時であるという意から。 禅宗で…
哲学カフェ大分を開催しました。 今回は「タイパって何だろう?」について参加者のみなさんと哲学対話しました。 最初にアイスブレイクで 「あなたの一番生産性の高い(集中力の高い)場所と時間は?」という質問を してみました。 (場所)家、自宅、自分の…
わたしはゴーゴリの『外套』を翻訳中の露文和訳者でもない。しかし、あのカーキ色の旧陸軍歩兵の外套を着て、九州筑前の田舎町から東京へ出て来て以来ずっと二十年の間、外套、外套、外套と考え続けてきた人間だった。たとえ真似であっても構わない。何とし…
コミュニケーションの重要性と厳しさとがこの本から伝わってくる。安易に対話という言葉が用いられる今日において、大変意味深いものである。そもそも他者と関わることとは、人間が生きていくうえで避けられないことであり、またごくありふれたことでもある…
何処かとんと見当もつかないほど遠くの方に、まるで世界の涯にでも立っているように思われる交番の灯りがちらちらしていた。 『外套』ゴーゴリ(平井肇訳) 二月の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しました。 ご参加ありがとうございました。 今回とりあげた作品は…
ひさしぶりにフリースクールうかりゆハウスでこども哲学を開催しました! テーマは「友だちって何だろう?」 フリースクールでこども哲学を初めて半年ほど経って、 ようやくファシリテーターとしてもこどもたちも、 哲学対話がどのようなものなのか、掴んで…
瞑想のなかに平和がある。瞑想自体がその動きだ。それは発見されるべき目的地ではない。思考とか言葉によって組み立てられたものではない。瞑想の行為が知性だ。瞑想は、あなたがこれまで教えられてきたことや、経験してきたことではない。学んだり経験して…
毎朝見るたびに、はつとするほどその書が新らしい 高村光太郎「黄山谷について」 2023.1.30-2.5 月曜日 教えている生徒さんの字が突然上手くなって、 もちろん練習の成果であるわけだが、 自転車に乗れるようになるように、 ある日突然、それは訪れる感の方…