対話と人と読書|別府フリースクールうかりゆハウス

別府市鉄輪でフリースクールを運営しています。また「こども哲学の時間」など

エッセー

除名 せよ

そうならば宗教をはみ出した人々に肉迫するのに、念仏一宗もまたその思想を、宗教の外にまで解体させなければならない。最後の親鸞はその課題を強いられたようにおもわれる。 『最後の親鸞』吉本隆明 2022.2.21-27 月曜日 澄み渡った快晴。寒いが気持ちがい…

空想のゲリラ

「いろいろあったけど、よかったよかった」となる映画が多すぎる。本当はいろいろあったなら、人は取り返しのつかない深手を負い、社会は急いでそれをあってはならないものとして葬り去ろうとするだろう。人と社会の間に一瞬走った亀裂を、絶対に後戻りさせ…

心臓の鼓動を感じる場所

ひだり【左】 アナログ時計の文字盤に向かった時に、 七時から十一時までの表示のある側。 「明」という漢字の 「日」が書かれている側と一致。 また、人の背骨の中心線と 鼻の先端とを含む平面で 空間を二つに分けた時に、 大部分の人の場合、 心臓の鼓動を…

濁りの大切さ

剛力彩芽冬薔薇の束騎手に渡す トオイダイスケ 「私の中」に脳という器官が存在するのではない 「脳」の一部の機能として私が存在するに過ぎないのだ 『図書館の外は嵐』穂村弘 2022.1.31-2.6 月曜日 水道の設備業者の調査。 母屋に新たに露出配管を計画する…

歯の痛いナイチンゲールのように

刃はたちまち曇り、舌には明確な冷たさの果てに、遠い甘味が感じられた。 『金閣寺』三島由紀夫 2022.1.24-30 月曜日 今日からNHKの撮影。昨日までの雨はやんだ。 Sディレクターは晴れ男のようだ。 金閣のように厳密な一回性 『金閣寺』三島由紀夫 そう、文…

わしらは侮辱のそとで生きています。

1994.2 Higashikoganei なぜ人間の生命を産み育て、その死をみとるという労働が、 その他のすべての労働の下位におかれるのか、 という根源的な問題がある。 この問いが解かれるまでは、 フェミニズムの課題は永遠に残るだろう。 上野千鶴子 最後の講義 2022…

含羞の彼方に

以前鉄輪朝読書ノ会に参加した女性Aさんが、男性Bさんの言った「男は優しい女が好き」という発言に怒りを覚えたというブログの記事を読ませていただいた。それは女にかける呪いの言葉だと。 私はファシリテーターとして現場で、AさんがBさんの発言に対して違…

社会も夢を見たい

春さきの風 中野重治 三月十五日につかまつた人々のなかに一人の赤ん坊がいた。 朝の八時半ごろ、赤ん坊は父親と母親とに連れられて、六人の制服と二人の私服といつしょに家の前の溝板を渡つた。夏場はこの溝板がごとごというのだが、この時はすつかり凍てつ…

あたらしい年の青い光線

からだをほどくとほとけ 野口三千三 おしなべて生あるものは、金閣のように厳密な一回性を持っていなかった。 『金閣寺』三島由紀夫 2022.1.3-9 月曜日 朝起きて、軽く清掃をして、しずかに本を読む正月。 今は月末の読書会にむけて、三島由紀夫の『金閣寺』…

謹賀新年 2022年

あたらしい年。 いつも使っているドイツ製のデート印の年の部分を回し、そっと押印する。 年末から年始にかけて、天気もおだやかで、しずかな時を過ごした。 年末はうかりゆハウスで合唱のつどい。 元日の朝はむすびのさんで朝食をいただいた。 今年は別府フ…

集める、注ぐ

数学も、芭蕉のように歩むことはできないだろうか。 情緒は、感情と環境を区別しない。 森田真生『数学する身体』 2021.12.20-26 月曜日 大分トリニータの天皇杯決勝は負けたけど、すばらしい試合だった。 グッドルーザーという言葉を片野坂監督が語ったよう…

【開催報告】第六十七回 別府鉄輪朝読書ノ会

もし神様がベッドを覗くことがあって、誰かがありきたりな動作で自分たちに酔っているのを見たとしても、きっと真剣にやっていることだろうから、笑わないでやって欲しい。 山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』 今年最後の別府鉄輪朝読書ノ会を開催しま…

大阪画

フェリーの出発まで時間があったので大阪の街をぷらぷら歩きながら、 徒然なるままに写真を撮った。 今日、北新地で火事のニュースがあったが、私のあるいたところだろうか。 放火という話もあり、心配である。 ここの歩道橋でビッグイシューを買った。 とて…

ココルームの朝、釜ヶ崎を歩く。

西成、釜ヶ崎の朝。 ココルームの屋上にあがって朝の空気を吸った。 都会の空気。 近くに見えるあべのハルカスと遠くに見え隠れする通天閣。 西側に見えるのは、ココルーム自慢の庭。 いつもはココルームで朝食をとっていたのだが、この日は休みと言うことで…

すべての革命はのるかそるかである

Osaka, 2021.12.6 エロいくらいの流線型 彼[遊歩者]にとってすべての街路は急な下り坂である W.ベンヤミン 2021.12.6-12 月曜日 ココルームの朝。睡眠時間は短いが爽快だ。 私は谷川俊太郎の詩人の部屋。女性二人は2段ベッドの子豚とひょうたんの部屋。 …

冬の京都 2021〜東寺ライトアップ篇

東寺の近くにホテルをとった。 夜にライトアップがあったので、疲労していたが少し休憩して向かった。 溜息が出るような美しさであったが、過剰な演出のような感じもして、もやった。 寝る前にヘルスアプリを見ると22.8km、歩数にして34,282歩の歩いた一日だ…

冬の京都2021 その4(ウォークス)

京都府立医大の旧図書館のモダニズム建築。昭和4年竣工。尖ったエントランス ずっと行きたかった誠光社さん。店内はこじんまりとしつつも、どれも読みたい力のある本ばかりが置かれていて、時を忘れて過ごした。 関美穂子さんの型染めのポストカードと『学校…

冬の京都2021 その3(垂直への意思)

ぎゅうぎゅうに入って、身を入れ替わりつつ東西南北を眺めた三階の望楼 眺望をさまたげないために、雨戸を格納する戸袋は窓の左右ではなく下に設えれていた 鴨川デルタの近くにある、旧三井家下鴨別邸の特別公開に合わせて行く。 ツイッターともだちの方に勧…

見る前に跳べ

おれはひとりの修羅なのだ 宮沢賢治 2021.11.29-12.5 月曜日 オカユは地域猫としてもいろんな人に愛され、 顔の状況を見て沢山の人が心配してくれる。 鉄輪温泉の駐車場という空間が、憩うベンチが、 無為の共同体と形作っている。ごく自然に。 心配して自主…

冬の京都 2021 その2(水平のちから)

蓮華王院本堂、通称三十三間堂。 私はなにか仏教がもつ量への傾斜が質を造っていくような発想というか思想が好きで、三十三間堂の異様とも言えるこの横長、水平への延びはぞくぞくさせる。磯崎新氏だったかこの建築に無限焦点という言葉を使ったのは、カメラ…

冬の京都 2021 その1

フリースクール視察のために関西へ。 フェリーの定期検査により運行日にずれが生じ、僕だけ先行して出た。 1日の余りを京都探訪にあてる。 天気はぼちぼち。 常に歩いているせいか、寒さは感じなかった。 (この日は22.8km、34,282歩とヘルスアプリに記録さ…

非存在の瞬間

2021.11.22-28 月曜日 渋ノ湯はこのところ湯量や温度の変化が激しいので、その業務用記録のためのちいさなホワイトボードが着替え場の棚に掛けられているのだが、いつの間にか観光客が残すメッセージボードになっていて、「広島から来ました。気持ちよかった…

Classic Japan Rally 2021 MOJI-KOBE.

別府鉄輪のみゆき坂をクラシックカーが駆け抜けた。 個人的には1925年製の1991cc BUGATTi T35Aという車が気に入った。 あとBRISTOL400とか漆黒のLANCIAとか。 戦前からある車が公道を走っているというのがすばらしい。 Classic Japan Rally 2021 MOJI-KOBE. …

トライアングルカフェ

2018.5 台北 士林夜市 信仰心の強いあなたでも、その証を欲した Hallelujah レナード・コーエン 2021.11.15-21 月曜日 いい天気。あたたかい。 別府の熱の湯温泉は市営のものでおそらく唯一無料だ。 だから多くの人が集まるし、そこには福祉的な意味もあるか…

コピーレフト/コピーライト

なぜ、わたし以外の誰もこの門を尋ねてこなかったのでしょうか? 『掟の門』カフカ 2021.11.8-14 月曜日 しとしと雨 いつも入っている組合の渋ノ湯の湯量が不調すぎて入れず、近くの熱の湯も湯量が不調で長期の工事に入って使えないので、雨のなか谷の湯まで…

雲から抵抗へ

この線路を降りたら赤に青に黄に 願いは放たれるのか?今そんなことばかり考えてる なぐさめてしまわずに 小沢健二 2021.11.1-7 月曜日 きりよく11月に入る。 今年もあと2ヶ月ということか。 以前このブログでピンホールカメラについて書いたら、 ピンホール…

ポケットのなかの『出家とその弟子』

もう世界中の誰のこともああだこうだ言うまい。なんだかとても若返り、同時に言いようもなく老いた感じがする。 『ダロウェイ夫人』ヴァージニア・ウルフ 2021.10.25-31 月曜日 福岡最終日。選んだホテルは安かったが、朝食がとても充実していて、普段は朝食…

空襲を待ちわびて

第一章 岬をたどりながら 一歩にはじまり、さらに一歩、そしてさらに一歩と、打楽器を叩きはじめるように積み重なってゆく歩行のリズム。歩行はたやすくわたしたちを誘い出す。宗教、哲学、風景への眼差し、都市の政治学、人体の解剖学、アレゴリー、そして…

遊歩のグラフィスム

2002.10 Seoul 異国の雨。知らない人たちの背中の追いながら地下鉄へと歩いた 2021.10.11-17 月曜日 なにをした日か忘れた。月曜日は遠い。 手帖にはTSUTAYA返却とだけある。 火曜日 暑い。蒸します。 10月とは思えない。日曜日から冷えるようだ。 冬服を準…

どれみふぁけろけろ

2002.10 Seoul ソウルにも神田のような古本屋街があった。読めない文字が気持ちよかった 時枝は、英語を天秤に喩えた。主語と述語とが支点の双方にあって釣り合っている。それに対して日本語は「風呂敷」である。中心にあるのは「述語」である。それを包んで…